ジョージ秋山原作ドラマ「銭ゲバ」の無料動画！第1話から最新話までフル視聴！

これは「愛」なのか? 「悪」なのか? 原作は1970年に「少年サンデー」で連載され、その衝撃的かつ哲学性あふれるストーリーで⽇本中 を激震させたジョージ秋⼭の問題作。貧しく、不幸な⽣い⽴ちゆえ「銭ゲバ」となった⻘年の、この⾦まみれの世界で⽣き抜くサバイバ ル活劇!! 「愛」と「悪」をスリリングに、そしてリリカルに描き、「幸福とは何か?」を問う超エンターテイメントドラマ!

※Hulu作品ページより

蒲郡⾵太郎 (松⼭ケンイチ) は幼い頃から貧乏だった。 ⺟親･桃⼦ (奥貫薫) は病弱、⽗親･健蔵 (椎名桔平) は放蕩三昧。教科書代に、給⾷ 費すら払えない。学校ではいじめられ、⾺⿅にされた。「でも先⽣…、世の中には、100円のお⾦もない家もあるんです。」⺟の切ない 訴えに、⾵太郎は何もできぬ苛⽴ちを抱えていた。

※Hulu作品ページより

作風にマッチした挿入曲にしろ役者陣の演技にしろどれも素晴らしかったのですが、やはり一番評価すべきは脚本だと思います。
原作の漫画作品の長さは、幻冬舎から出版されている文庫本では上下巻程度。
それをよくここまで肉付けして全9話までストーリーを引き延ばし、かつうまくまとめたと思います。

「映像化」に間違いなく成功している希有な作品です。

かつて野村芳太郎や今村昌平作品に夢中になった人にはたまらない作品だと思います。極限まで削りこんだシャープで切れ味の鋭い台詞の数々。言葉に頼るのではなくあくまで映像で観せ切る。時制を行ったり来たりすることによって生まれる独特のリズム感。会話のシーンで省略して一旦次のカットをみせておいて数分前の出来事を回想シーンとして観せるとか。特に圧巻なのが再終話。実際の経過時間はほんの数分の出来事なのに虚々実々のシーンをカットバックさせることによって何十倍にも引き伸ばして観せる。エウ゛ァンゲリオンとは似て非なるものです。クラクラするほどダークで悲哀に満ちた世界観。それを一切妥協するこつなく見事に映像化したスタッフと魅力溢れるキャスト。金子隆博のフランス映画を思わせる印象的なスコア。苦悩しつつも犯罪の甘美さすら体現して見せる松山ケンイチとそれを受けて立つ女優陣。時にゾッとするほどの美しさをみせる緑役のミムラ、彼女には是非ともヒリヒリするような女刑事役を演じてほしい。風太郎の写し鏡とも言うべき茜役の木南晴香。そして出番こそ少ないものの鮮烈な印象を残した石橋杏奈、今後ますます活躍の場を広げてゆくことでしょう。似たり寄ったりのドラマに辟易してる人、普段ドラマなど観ないという人にこそ是非ともこの全編を覆い尽くす濃密な空気感に酔い痴れていただきたい。

松山ケンイチという、唯一無二の存在感ある役者あっての作品だと思います。 彼の嘘のない、決して格好良く見せよう等の気持ちが微塵も感じられない表現力で、観ているのが辛くなる作品です。 またまた架空の人物に命を吹き込んでしまいましたね。 確かに演技力云々という次元ではないです。 作品毎に代表作が塗り替えられ、以前別の作品で(エルの時もクラウザ-さんの時も)、クランクアップの度、もうやりきったので続編はやりたくない様なことを発言されていましたが、やっとなんとなく意味が解りました。 風太郎はこの世に決着を既に着けてしまっているのですものね。 最後のクライマックス、死への恐怖と独白シーンは特に圧巻でした。

松山ケンイチと聞けばまず浮かぶのは、「デスノート」のＬ。
社会現象を引き起こした原作漫画の著名度の高さ、そして彼自身が架空の名探偵を
あまりに見事に現出させたため、他の出演作ををよく知らない者にはまだ「松山ケンイチ＝Ｌ」なのだ。
昨年話題になった映画「デトロイト・メタル・シティ」や今後公開される「カムイ」にしても、
派手なメイクや衣装で架空世界を生き「カメレオン俳優」などと呼ばれ
話題作に出演することで突如時の人となった彼にはどうしても漫画的な印象が拭えない。

しかし、これはそんな松山ケンイチのイメージを塗り替える作品だ。

原作はまたも漫画である。昭和４５年に連載され物議をかもした「銭ゲバ」。
貧困と醜怪な容姿のため蔑まれどん底の生活を味わった少年が、金の亡者となり
邪魔者を次々と殺害しながら金と地位を手に入れていく。
金だけしか信じられない己に満たされない渇きを抱えながら…。

この作品こそが現時点で松山ケンイチの真骨頂ではないか。
彼には演技力があるとかないとかいう評価はもはや的外れだ。そんな次元は超越している。
銭ゲバになってしまった主人公・風太郎。
松山が描き出したその生き様は、残酷で醜悪で哀切でいとおしい。
これはもう漫画ではない。彼は生身の人間として平成の風太郎を生ききった。

共演者も見事だ。
風太郎に翻弄され、次々と人生を狂わせ破滅していく人々。
特に風太郎を執拗に追い詰める刑事を演じた宮川大輔は鬼気迫る熱演。

撮影前のコメントで「この作品に答えはない」と話していた松山ケンイチ。
答えはない。しかし、心を掻き乱される作品である。